膝掛け
ひざかけ
名詞
標準
文例 · 用例
冬の外套を着て、膝掛けなどを用意して来てゐる人さへ、寒い、今夜はまたどうしたのかへんに寒い、と騒いでゐる。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
十月の初旬病床で暖かい日に蒲団の代わりにかけようと思って旅行用の夏の膝掛けを買いにやった。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
「こんなものはバスケットがいいんでしょう」お絹はそこにあった空気枕や膝掛けや、そうした手廻りのものを、手ばしこく纏めていた。
— 徳田秋声 『挿話』 青空文庫
二人がてんでんに切符を出そうとする時、「若奥様、これをお忘れになりました」 といいながら、羽被の紺の香いの高くするさっきの車夫が、薄い大柄なセルの膝掛けを肩にかけたままあわてたように追いかけて来て、オリーヴ色の絹ハンケチに包んだ小さな物を渡そうとした。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
そしていきなりそこに待ち合わしていた人力車の上の膝掛けをはぐって、蹴込みに打ち付けてある鑑札にしっかり目を通しておいて、「わたしはこれから歩いて行くから、この手紙をここへ届けておくれ、返事はいらないのだから……お金ですよ、少しどっさりあるから大事にしてね」 と車夫にいいつけた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
膝の上に乗せた土産のおもちゃや小さな帽子などをやきもきしながらひねり回したり、膝掛けの厚い地をぎゅっと握り締めたりして、はやる心を押ししずめようとしてみるけれどもそれをどうする事もできなかった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
* * * ある朝両親はいつものとおり古ぼけた割幌の軽車を重い耕馬に牽かせて、その朝カロラインが集めて廻った鶏卵を丹念に木箱に詰めたのを膝掛けの下に置いて、がらがらと轍の音をたてながら村の方に出かけて行った。
— 有島武郎 『フランセスの顔』 青空文庫
膝掛けにしている毛布の端が、ピックアップをかすめそうになり、慶一はハラハラした。
— 第1章 ローラーコースター、1966年 『45回転の夏』 青空文庫