運命の皮肉
うんめいのひにく
表現名詞
標準
irony of fate
文例 · 用例
僕があの長い間、可成の苦悶にみちた生活を忍從してゐながら、書面上にも談話上にも、一も訴へるべき對手をもたず、獨り寂しく田舍に悲しんでゐたといふ一事は、考へるだけでも腹立たしい運命の皮肉である。
— 萩原朔太郎 『室生犀星に與ふ』 青空文庫
何んという運命の皮肉だ。
— 有島武郎 『小さき者へ』 青空文庫
松島氏は、従来、警視庁の探偵たちに取っては苦手であって、警視庁では総監始め、松島氏の非凡な頭脳を常に恐れているのであるから、今、この警視庁の持てあました事件を松島氏が引受けるようになったのも、いわば運命の皮肉というべきであった。
— 小酒井不木 『外務大臣の死』 青空文庫
何とかして人間について実験して見たいと思って居ると、何という運命の皮肉でしょう。
— 小酒井不木 『人工心臓』 青空文庫
その運命の皮肉さ……笑う力もない事を併せてここに告白しておく。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
恐ろしい魔の手が背後に寄って、刻々に死の淵に導いている事を夢にも知らず、ラヴシーンの映画を子供心に嬉々として眺めていたとは、何たる運命の皮肉であろうか。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
今になると、あの女と、四角ばった辞儀をする間宮との間にどこかで操つられて居た運命の皮肉を感じ、自分自身の位置、態度に対するたまらない不愉快な心持も湧いて来た。
— 一九一六年(大正五年) 『日記』 青空文庫
わたくしはそれにつけても矛盾した性格を有つてゐた二葉亭氏の苦悶と運命の皮肉とを、今更の如くつくづくと考へてみるのである。
— 蒲原有明 『長谷川二葉亭』 青空文庫
作例 · 標準
例句