流れ入る
ながれいる
動詞
標準
文例 · 用例
またある時それは腰のあたりに湧き出して、彼の身体の内部へ流れ入る澄み透った溪流のように思えた。
— 梶井基次郎 『ある心の風景』 青空文庫
風を除けて、湖の岐入の方へ流れ入ると、出崎の城の天主閣が松林の蔭から覗き出した。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
秩父の山中から流れ出て、東京湾に流れ入る多那川は上流で早くから山岳地帯から離れ、武蔵相模平野の中を蜒々として東南に向うので鷺町辺では地勢も地質もいろ/\な変化を見せています。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
その山と積んだ白紙の層が、また瞬く間に、その大腹中に吸い込まれる、と、どろどろの綿状になり、繊維になり、液状のパルプになって、また紙漉機械へ流れ入る。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
交易致さば国に小判が流れ入るは必定、小判が流れ入らば水じゃ。
— 佐々木味津三 『老中の眼鏡』 青空文庫
細いどぶの樣な川――それが柵内に流れ入る――に渡した橋を渡ると、道の眞ン中に、一本のアカダモの大樹が立つてゐる。
— 放浪 『泡鳴五部作』 青空文庫
早く眼覚めたけれど、あまり蚊が多いのでぢつとして明けはなれるまで待つてゐた、流れ入る朝、あゝ朝はよいかな、ことに夏の朝は。
— 種田山頭火 『松山日記』 青空文庫
個人の主觀の時ありて曲中人物の主觀に入ることあるは、意識ありて入るにあらず、料らずも流れ入るなりといへり。
— 森鴎外 『柵草紙の山房論文』 青空文庫