彼方側
あちらがわ
名詞
標準
文例 · 用例
私の立っているところから、ちょうど六人目、あるいは七人目だったかも知れぬが、とにかく、つい鼻の先に、彼方側を向いて、吊革につかまって立っている女の後姿に、私の眼は釘付けにされてしまった。
— 平林初之輔 『秘密』 青空文庫
給仕をするのに、一々、大きな扉の開閉をせず、配膳室との境に、適当な大きさのハッチをつけ、台所で料理出来たものは、彼方側から其処の棚にのせ、給仕人が、此方から、部屋を出ず食卓に運ぶ。
— 宮本百合子 『書斎を中心にした家』 青空文庫
彼方側を歩いているさほ子の顔は見えず、白い足袋ばかりがちらちら薄明りの中に動いて見えた。
— 宮本百合子 『或る日』 青空文庫
多分、赤門の少し先、彼方側で、大きな土管屋か何かの横に入った処にその家はあった。
— 宮本百合子 『思い出すこと』 青空文庫
時によると、さっさと車道を横切って彼方側、裁縫店の大飾窓の前に行く。
— ――ふるき市街の回想―― 『小景』 青空文庫
群集の間から、私は、自分がそれて通った彼方側の街頭を眺めやった。
— ――ふるき市街の回想―― 『小景』 青空文庫
彼方側の襖の日かげがゆれて母が立って来た。
— 宮本百合子 『雲母片』 青空文庫
その時から、一つ場所に漂っている背高い婦人帽の頂を認めると、私は、鋪道を彼方側に越すことにした。
— 宮本百合子 『粗末な花束』 青空文庫