赤皮
あかがわ
名詞
標準
文例 · 用例
やがて士卒三人おそるおそるお庭の片隅にまかり出まして、そのうちの一人が少し進み出て、赤皮縅の鎧、葦毛の馬の武者一騎あざやかに先登かけて居られました、と申し述べ、たちまち義村さまは平伏なされ、忠綱さまは得々としてあたりを見廻しました。
— 太宰治 『右大臣実朝』 青空文庫
赤皮縅は忠綱さまの御鎧、またその葦毛の馬は、相州さまから拝領の片淵と号する忠綱さま御自慢の名馬に相違ないのでございますから、もはや争論の余地も無く、将軍家は、興覚め顔に何事もおつしやらず、ついとお座を立つておしまひになりました。
— 太宰治 『右大臣実朝』 青空文庫
白麻のハンチング、赤皮の短靴、口をきゅっと引きしめて颯爽と歩き出した。
— 太宰治 『座興に非ず』 青空文庫
海に沿った雪道を、私はゴム長靴で、小川君はきゅっきゅっと鳴る赤皮の短靴で、ぶらぶら歩きながら、「軍隊では、ずいぶん殴られましてね。
— 太宰治 『母』 青空文庫
」そして主人は、一ふくろのお金と新しい紺で染めた麻の服と赤皮の靴とをブドリにくれました。
— 宮沢賢治 『グスコーブドリの伝記』 青空文庫
」ファゼーロが向うの卓にひとり坐って、がぶがぶ酒を呑んでいる黄いろの縞のシャツと赤皮の上着を着た肩はばのひろい男を指さしました。
— 宮沢賢治 『ポラーノの広場』 青空文庫
黄八丈のどてらの上に白縮緬の兵児帯、鳥打帽に白襟巻、それに赤皮の編上靴といふ全く独創的な出で立ちで本町の人通りを歩いて居ることもあつた。
— 寺田寅彦 『蓑田先生』 青空文庫
これがもし対丈で、赤皮の靴を穿けば、樺太の海賊であるが、腰の下の見すぼらしさで、北海道の定九郎。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫