富商
ふしょう
名詞
標準
文例 · 用例
ことごとく、これは土地の大名、城内の縉紳、豪族、富商の奥よりして供えたものだと聞く。
— 泉鏡花 『夫人利生記』 青空文庫
従って、オランダ流の医術、本草、物産、究理の学問に志ある者を初め、好事の旗本富商の輩までが、毎日のように押しかけていた。
— 菊池寛 『蘭学事始』 青空文庫
この者どもとなると、十人十五人は愚か、三十人五十人と隊を組み、槍、薙刀どころか、火縄に点火した鳥銃をさえ携え、豪農富商屋敷へ、白昼推参し、二日でも三日でも居坐り、千両箱の一つぐらいを、必ず持ち去ったものだそうじゃ。
— 国枝史郎 『血曼陀羅紙帳武士』 青空文庫
もとよりそういう階級(富商)の若いものとしてはそうかもしれないが。
— 一九四〇年(昭和十五年) 『獄中への手紙』 青空文庫
「かねがね山田宗※のところへ弟子入りをしている脇屋氏(大高源吾のこと、京都の富商脇屋新兵衛と称して入りこむ)から、吉良邸では来月の六日に年忘れの茶会があるという内報もあった。
— 森田草平 『四十八人目』 青空文庫
徴發され強奪された金額は、酒井清兵衛の千四百兩を最とし、酒井長右衛門の七百兩、五木田利兵衛の二百七十兩、横瀬忠右衛門の二百兩等等、山南山北、凡そ名ある豪農富商にしていたぶられざるはなく、殊に酒井氏は邸宅まで灰にされて、また起つ能はず、今は家人のありかを知る者すら無い。
— 横瀬夜雨 『天狗塚』 青空文庫
その第十囘に、朱貴が梁山泊畔に酒店を開き、往來の富商を劫略することを記して、輕則|蒙汗藥麻翻。
— 桑原隲藏 『支那人間に於ける食人肉の風習』 青空文庫
巌であれば巌の固さの中に美わしさを求めいずるもの、仏像の尊厳を守りたてまつる板目であればその板の上に、襲いくる矢を防ぐ壁であればその壁の上に、豪奢をきそう富商の障壁であればその障壁の上に、すべての被担性を乗り越えてその中に「美」を盛ろうと試みるものが芸術家である。
— 中井正一 『壁』 青空文庫