転転
てんてん
名詞
標準
文例 · 用例
――たった一度きりの女なら、海野三千雄もよろしゅうございましょうが、二度、三度|逢っているうちに、窮屈になって、ひとりで悶悶転転いたしました。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
パリ党とベルリン党とは疲れる様子もなく、ついにはパリのマロニエの美しさとベルリンの菩提樹の美しさとの云い合いまでに及んで来ると、マロニエの下で飲む葡萄酒、菩提樹の下で傾けるビールの美味と云った風に、転転と議論は移り変っていって尽きなかった。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
屈曲し、弾みがあり、転転としていく自分らのバスは、相当に危険な崖の上を風に吹かれて蹌踉めいているらしい。
— ――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師) 『夜の靴』 青空文庫
一路秋生冷客衣、風車転転夕陽微、忽辺城外茫如海、遥見牧童引犢帰。
— 井上円了 『南半球五万哩』 青空文庫
孤村一路繞田家、転転舞風汲水車、南米春光交夏色、緑楊葉底紫藤花。
— 井上円了 『南半球五万哩』 青空文庫
あらゆることが僕を氣ちがひじみた憂鬱にかりたてるへんに季節は轉轉してもう春も李もめちやくちやな妄想の網にこんがらかつた。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
この遷都は、しかし、今日吾人の考へるやうな手重なものでなく、一|屋一|代の慣習によつて、轉轉近所へお引越になつたのである。
— 伊東忠太 『日本建築の發達と地震』 青空文庫