歳時
さいじ
名詞
標準
文例 · 用例
「簑虫鳴く」という俳句の季題があるのを思い出したから、調べついでに歳時記をあけてみると清少納言の『枕草紙』からとして次のような話が引いてある。
— 寺田寅彦 『小さな出来事』 青空文庫
俳句の歳時記などにも、ハタハタが出てゐるやうだし、また、ハタハタの味は淡いといふ意味の江戸時代の俳人の句を一つ読んだ記憶もあるし、あるいは江戸の通人には、珍味とされてゐたものかも知れない。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
しかも、女神の慧さと敏感さは年経る毎に加わるらしく、天象歳時の変異を逸早く丘麓の住民たちに予知さすことに長けて来た。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
わたくしが物ごゝろついた六七歳時分の、家の事を考えてみますと、小ぢんまりしたしもた屋で細い川の河岸に在りました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
俳諧歳時記を繰ってみてもわかるように季節に応ずる食用の野菜魚貝の年週期的循環がそれだけでも日本人の日常生活を多彩にしている。
— 寺田寅彦 『日本人の自然観』 青空文庫
短歌|俳諧に現われる自然の風物とそれに付随する日本人の感覚との最も手近な目録索引としては俳諧歳時記がある。
— 寺田寅彦 『日本人の自然観』 青空文庫
私はまだ九歳時分のことだから、どんなだか、くわしい訳は知らないけれど、母様は、お前、何か心配なことがあって、それで世の中が嫌におなりで、くよくよしていらっしゃったんだが、名高い尼様だから、話をしたら、慰めて下さるだろうって、私の手を引いて、しかも、冬の事だね。
— 泉鏡花 『清心庵』 青空文庫
可し、この樣子では、歳時記どほり、十五夜の月はかゞやくであらう。
— 泉鏡太郎 『十六夜』 青空文庫