網代木
あじろぎ
名詞
標準
文例 · 用例
わたくしはなお母の家に在って、心の底の流れは河沿の菰の上の、土に憩う乞食の安けさに惹かれながら、まわりの都会生活の営々の気に煽られると、その流れを堰く網代木のように女の腕一つで見事自分の糊口をしてみようという意地も張りも逆立って参ります。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
さて人丸の歌にかありけんもののふの八十氏川の網代木にいざよふ波のゆくへ知らずもといふがしばしば引きあひに出されるやうに存候。
— 正岡子規 『歌よみに与ふる書』 青空文庫
(四月二日)七「もののふの八十氏川の網代木にいざよふ波のゆくへ知らずも」の歌を前に八田などの歌と共に挙げてかにかくと論ひしかば、八田などの歌と同じさまに誹りたりと思はれたるにや、これを難ぜらるる人多し。
— 正岡子規 『人々に答ふ』 青空文庫
(名所としての「もののふの」の歌は次に論ぜん)(四月四日)八「もののふの八十氏川の網代木に」の歌に、名所の特色を現さずといふ事につきて、或人弁じて曰く、網代は宇治田上に限りたる者なれば特色なきに非ずと、網代が宇治の特色なることはわれらも知れり。
— 正岡子規 『人々に答ふ』 青空文庫
されどこの歌は宇治川も網代木も、皆宇治川網代木その物を現はさんとの意にはあらで、単に下二句の感慨を引き出すための道具に過ぎざれば、名所の歌の手本にすべきに非ずといへるなり。
— 正岡子規 『人々に答ふ』 青空文庫
さて人丸の歌にかありけんものゝふの八十氏川の網代木に いざよふ波のゆくへ知らずもといふが屡※引きあひに出されるやうに存候。
— 正岡子規 『歌よみに與ふる書』 青空文庫
さて人丸の歌にかありけんもののふの八十氏川の網代木に いざよふ波のゆくへ知らずもというがしばしば引きあいに出されるように存候。
— 正岡子規 『歌よみに与ふる書』 青空文庫
寂蓮の急雨|定頼卿の宇治の網代木これ見様体の歌なり。
— 正岡子規 『俳人蕪村』 青空文庫