岡持
おかもち
名詞
標準
文例 · 用例
」 と、ちょろりと舌を出して横舐を、遣ったのは、魚勘の小僧で、赤八、と云うが青い顔色、岡持を振ら下げたなりで道草を食散らす。
— 泉鏡花 『白金之絵図』 青空文庫
自転車で岡持ちを運んで来る若者は遠路をぶつぶつ叱言いったが、小初の美貌と、父親が宛てがう心づけとで、この頃はころころになって、何か新らしく仕込んだ洒落の一つも披露しながら、片隅の焜炉で火を焙して、お椀の汁を適度に温め、すぐ箸が執れるよう膳を並べて帰って行く。
— 岡本かの子 『渾沌未分』 青空文庫
この俄崖とすれ/\に剥げた黒塀が構えられていて、その塀を越せばもう出前持が自転車で岡持を持ち運ぶ都大路の八衢の一つになっております。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
粗末な昼飯を仕出屋が道の上に岡持で運んで来ます。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
「御飯はいくらか冷たいかも知れないわよ」 老人は見栄も外聞もない悦び方で、コールテンの足袋の裏を弾ね上げて受取り、仕出しの岡持を借りて大事に中へ入れると、潜り戸を開けて盗人のように姿を消した。
— 岡本かの子 『家霊』 青空文庫
片腹痛い言まで云ッてやがて下女が持込む岡持の蓋を取ッて見るよりまた意地の汚い言をいう。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
岡持を肩へかけて、少しばかりの醤油や酒をも持ち廻った。
— 徳田秋声 『新世帯』 青空文庫
で、ろくすっぽう、莨も吸わず、岡持を担ぎ出して、また出て行ってしまう。
— 徳田秋声 『新世帯』 青空文庫