齲
齲
名詞
標準
文例 · 用例
寄生蟹のうた潮みづのつめたくながれて貝の齒はいたみに齲ばみ酢のやうに溶けてしまつたああここにはもはや友だちもない 戀もない渚にぬれて亡靈のやうな草を見てゐるその草の根はけむりのなかに白くかすんで春夜のなまぬるい戀びとの吐息のやうです。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
寄生蟹のうた潮みづのつめたくながれて貝の齒はいたみに齲ばみ酢のやうに溶けてしまつたああ ここにはもはや友だちもない戀もない渚にぬれて亡靈のやうな草を見てゐるその草の根はけむりのなかに白くかすんで春夜のなまぬるい戀びとの吐息のやうです。
— 萩原朔太郎 『蝶を夢む』 青空文庫
空に光るわが哀傷のはげしき日するどく齲齒を拔きたるにこの齲齒は昇天したちまち高原の上にうかびいでひねもす怒りに輝やけり。
— 萩原朔太郎 『蝶を夢む』 青空文庫
寄生蟹のうた潮みづのつめたくながれて貝の齒はいたみに齲ばみ 酢のやうに溶けてしまつたああ ここにはもはや友だちもない 戀もない。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
家の財政のことなど知らない子供の私なぞは、却って奥の齲歯の抜けたあとのあの涼しさや珍らしさのようなものさえ、すう/\感じました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
然るに南方の文帝、元嘉の年中、京洛の婦女子、皆悉く愁眉、泣粧、墮馬髻、折要歩、齲齒笑をなし、貴賤、尊卑、互に其の及ばざるを恥とせり。
— 泉鏡太郎 『唐模樣』 青空文庫
齲齒笑は思はせぶりにて、微笑む時毎に齲齒の痛みに弱々と打顰む色を交へたるを云ふ。
— 泉鏡太郎 『唐模樣』 青空文庫
毎朝一回齒を清め口を清むるは普通の人の爲す所であるが、毎食後に齒を清め口を清めたなら、其人は必らず普通人よりも、齲齒其他の口内の疾患との距離を多くし得るに疑ひ無い。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫