本立ち
もとだち
名詞
標準
文例 · 用例
尤も、此の浸入が不可ないといふのではない、勿論裨益もするのだが、短歌や俳句が我が詩心界を代表する如くに一本立ちに、詩は猶それを代表することは出来なく、而も時勢は既に詩歌として短歌・俳句だけでは間に合はない詩的要求の萠芽を見てゐると云ひたいのである。
— 中原中也 『詩と其の伝統』 青空文庫
源作は、十六歳で父親に死なれ、それ以後一本立ちで働きこみ、四段歩ばかりの畠と、二千円ほどの金とを作り出していた。
— 黒島傳治 『電報』 青空文庫
お前もこれから一本立ちになってせいぜい稼いで、みなさんのお世話で好い嫁でも持つ算段をしろ」と、三吉は平気で大きな声で云った。
— 猫騒動 『半七捕物帳』 青空文庫
いつまでも一本立ち出来ず、孤独な境遇のまま浮草のようにあちこちの理髪店を流れ歩いて来た哀れなみじめさが、ふと幼友達の身辺に漂うているのを見ると、私はその無心を断り切れなかった。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
そうして一本立ちになるが早いかすぐに自分の創作に取りかかる。
— 寺田寅彦 『空想日録』 青空文庫
これに反して先生が自分の仕事を横取りしたといって泣き言を言うような弟子が一本立ちになって立派な独創力を発揮する場合はわりに少ないようである。
— 寺田寅彦 『空想日録』 青空文庫
奎吾が一本立ちになる時米吉はかなりの金を都合してやつた。
— 島木健作 『第一義の道』 青空文庫
娘ももうどうにか一本立ちが出來る。
— 島木健作 『續生活の探求』 青空文庫