蕭殺
しょうさつ
形容動詞
標準
文例 · 用例
我れ此所を低徊して、始めて更らに上州の蕭殺たる自然を知れり。
— 萩原朔太郎 『氷島』 青空文庫
」 と銀河を仰ぎ、佩剣の秋|蕭殺として、鵲のごとく黒く行く。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
蕭殺たる此の秋の風は、宵は一際鋭かつた。
— 泉鏡花 『貴婦人』 青空文庫
蕭殺として淋しい山路は身が引き緊まる樣な氣がして長途の割合には疲勞も無く、鹽原の湯へ着いたのは夕方であつた。
— 長塚節 『痍のあと』 青空文庫
秋風蕭殺の気が、天地に籠つて、涼しい/\が、寒い/\にならうと云ふ時、死にそくなつた狂蝶が、まつ白な桜の返り花に、冷たい残骸を乗せて居ようと云ふ頃、一夜、矢張り十一時過ぎ、俺は三階の窓の上で、暫く無我の体だつた。
— 尾崎放哉 『俺の記』 青空文庫
天狗の宮には祀る者がなく窩人の住家には住む者がなく、従来賑やかであっただけにこうなった今はかえって寂しく蕭殺の気さえ漂うのであった。
— 国枝史郎 『八ヶ嶽の魔神』 青空文庫
苦心して探し回って、ついにどうか、こうか快楽という一事を捕えたまではよかったが、その「快楽」を捕えたときは、君はすくなからず蕭殺たる色相とデスペレートな気分とを帯びてるごとく見えたからである。
— 倉田百三 『愛と認識との出発』 青空文庫
この思想は蕭殺たる形を成して意識の上に現われては私を威嚇したり揶揄したりする。
— 倉田百三 『愛と認識との出発』 青空文庫