溢れ者
あぶれもの
名詞
標準
文例 · 用例
尚ほ手先を使つて、彼等盜賊の迹を附けさせると、それが今の芝の薩摩ツ原の薩州屋敷に入るといふのでこの賊黨はとう/\薩藩中の溢れ者だといふことが分つた。
— 塚原蓼洲 『兵馬倥偬の人』 青空文庫
儂自身東京から溢れ者の先鋒でありながら、滅多な東京者に入り込まれてはあまり嬉しい気もちもせぬ。
— 徳冨健次郎 『みみずのたはこと』 青空文庫
病躯を起して、この内憂外患の時節に、一方には倒れかけた幕府の威信を保ち、一方には諸国の頑強な溢れ者を処分してゆく、悪まれ役は会津が一身に引受けたのであります。
— 壬生と島原の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
一も二もなく雲助のきっぷに惚れ込んだ道庵が、ここで彼等の溢れ者をすっかりかり集めて、大盤振舞をした上に、明日はこの勢いで関ヶ原合戦の大模擬戦を行って見せるのだという。
— 不破の関の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
刻々と詰め寄せて来る溢れ者の雲助と、見物がてら幾らかの日当にありつこうという近郷近在連とが、ひしひしと押しかけて来るのを見ると、もはや絶体絶命だという観念が湧かないでもありません。
— 不破の関の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
藩籍にあって知行をいただいていては自由の行動が取れない、よし自由の行動が取れるにしても、その行動が藩主の身上に影響を及ぼすところをおそれて、好んで藩を脱して諸国を放浪して、大言壮語することを職としていた筋目の通る溢れ者が、当時の社会には充ち満ちておりました。
— 山科の巻 『大菩薩峠』 青空文庫