薄暗がり
うすくらがり
名詞
標準
semi-darkness
文例 · 用例
(明治四十一年三月二十一日『東京朝日新聞』) 六十九 光線と眼 薄暗がりで読書などすると、じきに眼が疲れて来る。
— 寺田寅彦 『話の種』 青空文庫
ふたりは店に腰をかけて、下女のお伝が何者にか啖い殺された当夜のありさまを聞きただしたが、これも薄暗がりの時刻であり、且は不意の出来事であるので、亭主は二人が満足するような詳しい説明をあたえることは出来なかった。
— 鬼娘 『半七捕物帳』 青空文庫
相変らず前髪を垂らし、薄暗がりで黒色に見えるが、兵古帯の色はいつも紫だ。
— 織田作之助 『夜光虫』 青空文庫
「何さ、変な声を出して……」 そう言いながら、お加代は娘の手から札束を掴み取ったが、薄暗がりですかしてみると、十円札は一枚しかなく、あとは五十銭札と一円札ばかり、全部で三十円にも足りなかった。
— 織田作之助 『夜光虫』 青空文庫
「…………」 唖の娘は、もう自分はお加代について行くよりほかにないと、きめてしまったように、ちょぼんと薄暗がりの中に立って、お加代が自分の所へ戻って来るのを待っていた。
— 織田作之助 『夜光虫』 青空文庫
人けのない、雨のビショビショ降る事務所街の薄暗がりに、たった一人立っている自分が俄かに佗しい気さえした。
— 渡辺温 『或る母の話』 青空文庫
私はふとあすこの博品館の横手の薄暗がりの中に、ぼんやり立って、どうやら泣いているらしい恰度君位の背恰好の女の子の姿を見出したのだ。
— 渡辺温 『嘘』 青空文庫
二三日前からコークスを焚き続けた大坩堝が、鋳物工場の薄暗がりの中で、夕日のように熟し切っている時刻である。
— 夢野久作 『怪夢』 青空文庫
作例 · 標準
例句