薄紗
はくさ
名詞
標準
delicate gauze
文例 · 用例
もっとも深い眠りから覚めるとき、我々はなにかしら薄紗のような夢を破るものである。
— THE PIT AND THE PENDULUM 『落穴と振子』 青空文庫
されどかく端的に見たりと感じたりしわが神の、尚ほ一重の薄紗を隔てたる如き感はあらざりし乎、水に映りし花の、朧ろのこゝろを著けざりし乎。
— 綱島梁川 『予が見神の実験』 青空文庫
先日女房が地主の旦那と一緒に町へ出かけて行って、夜になってから帰って来たことがあったが、その日曜日には、彼女が木理リボンをつけ、薄紗のショールをかけていたのを彼は思いだした。
— モーリス・ルヴェル Maurice Level 『麦畑』 青空文庫
薄紗をかぶせた電灯の朧ろな明るみのなかで、茫然と見開いた眼には、明瞭な幻がまだ映っている。
— 豊島与志雄 『怪異に嫌わる』 青空文庫
同じ死神でも虎列剌や、黒死病と違ひ、インフルエンザといへば、なんとなく、その手は、細く白く、薄紗を透して幽かな宝石の光りをさへ感ぜしめるではないか。
— 岸田國士 『風邪一束』 青空文庫
窓掛けの薄紗を通して遠くに 〔PANTHE'ON〕 の円屋根が緑青色に見える。
— 高村光太郎 『珈琲店より』 青空文庫
四頭の白馬にひかせた四輪馬車の上には、白色のフランス大薔薇と珍種の蘭をもって作りたる巨象をすえ付け、その背には、薄紗の面怕をつけたアフガニスタンのバレエム王女が乗っている。
— 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻―― 『ノンシャラン道中記』 青空文庫
君は透見ゆる霞の如き薄紗の下に肉色したる肌着をつけ給ひたれば、君が二の腕、太腿の、何処のあたりまでぞ、唯一人君を寝室に訪ふ人の、まことに触れ得べき自然の絹にして、何処のあたりまでぞ、君が薫りを徒らに、夜毎楽屋の媼の剥ぎとるべき、作りし肌なるべきか。
— 永井荷風 『舞姫』 青空文庫
作例 · 標準
カーテンから漏れる月明かりが、薄紗のヴェールのように部屋を包んだ。
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舞台の衣装は、薄紗を幾重にも重ねて作られ、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
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彼女は薄紗のように軽やかなスカーフを首に巻いて出かけた。
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