市井無頼
しせいぶらい
名詞名詞-の形容詞
標準
urban villain
文例 · 用例
相手の男は市井無頼の不良の徒であった。
— 織田作之助 『土曜夫人』 青空文庫
幽人高士のあまりに少い今の乱脈さは、その気品の低く、香気の薄く、守ることの浅い不見識は、あの市井無頼の徒たりとも口にすることを恥ずる暴言と態度の賤鄙と(いや、それよりも下俗な覆面の残虐と私情の悪罵と)あの卑劣とは何事であろう。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
そこで当然、落込んでいったのは、市井無頼の徒のむらがっている、自由で放縦な場処だった。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
彼ほどかうした上方の市井無頼の徒を表現するのに、適当なすべての素質の備つた役者は、こゝ五十年の間に見ることが出来なかつた。
— 折口信夫 『夏芝居』 青空文庫
悪遊びと乱行が、骨の髄まで染み込んでいる出羽守は、市井無頼の徒のようになっていて、この側近の臣に対しては、あまり主従の別を置かないのである。
— 林不忘 『煩悩秘文書』 青空文庫
おさむらいにしてそんな通称があろうという、市井無頼の徒と何ら選ぶところのない丹ちゃんである。
— 新版大岡政談 『魔像』 青空文庫
シェークスピヤやゲエテの傑作の中から学生の余興にふさはしい場面を択んで演ずるならまだしも、市井無頼の徒のいかがはしい風習行蔵を描いた唾棄すべき演劇の真似などは言語道断である。
— 辰野隆 『浜尾新先生』 青空文庫
菅野又五郎の妻に対して指一本でも触れたら、……その挨拶はもう市井無頼の徒と差別がなかった、それから小粒を一つ投げだしてこう云った。
— 山本周五郎 『葦』 青空文庫