黄母衣
きほろ
名詞
標準
文例 · 用例
」 と夜具風呂敷の黄母衣越に、茜色のその顱巻を捻向けて、「厭な事は、……手毬を拾うと、その下に、猫が一匹居たではねえかね。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
白糸縅に胡麻幹小札、この大鎧を一着し、真紅の鉢巻をムズと締め、黄母衣に木地の鞍置かせ、浅黄手綱の黒駒に乗ったは、濃州|方県の城の主、明石播磨之介|貞朝であったが、「談天門の攻め口は、わが手にて候うぞ」 と大音に呼ばわり、カラカラと笑って通りすぎた。
— 国枝史郎 『あさひの鎧』 青空文庫
黄母衣護送 馬蹄や、具足をつけた草鞋が、ぱくぱくと埃を持ち上げる。
— 吉川英治 『篝火の女』 青空文庫
やがて、並木の口にかかると、『おっ、うしろから黄母衣が来たぞっ、道を寄れ』 足軽頭が、槍をふって呶鳴った。
— 吉川英治 『篝火の女』 青空文庫
黄母衣は使番の目印だ、急な使者は陣中でも駈けぬけをゆるされているし、列も横切る場合すらある。
— 吉川英治 『篝火の女』 青空文庫
その黄母衣組の士が一騎に、ただの騎馬武者が五名ほど、一頭の裸馬を中に囲って、黄塵の中から次々に姿をあらわし、驀っしぐらに、眼のまえをよこぎって彼方へ駈け去った。
— 吉川英治 『篝火の女』 青空文庫
これははなやかな甲冑陣太刀のよそおいで、黄母衣、白母衣、赤母衣、を背にながし、ゆるい虹のように場内を一|周した。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫
……とうとうたる太鼓……型のごとき黄母衣、赤母衣、白母衣の伝令三|騎が、番外の五番|試合を各所の控え所へふれて、虹のように試合場のまわりを一|巡する…… 水をうったように、群集のこえと黄塵がしずまって、ふたたび、御岳の広前に森厳な空気がひっそりと下りてきた。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫