秘感
ひかん
名詞
標準
文例 · 用例
かの女は希臘神話がこんなにも直助の興を呼んで話させたのが不思議でかの女の河に対する神秘感が一そう深まるのだつた。
— 岡本かの子 『川』 青空文庫
そうして老女たちに神秘感を与えていたあの月給袋はもう永遠に手に入らない。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
なぜならば人間至高の肉慾にして、超人には最後に残された唯一の肉慾、あの神秘感と袂を分ってしまったからである。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
私はこの聖者の伝記を調べて記し終り、試しに二度目に白隠の逸話集のあの個所を読んだときは、もう何の神秘感も起らなくなっていた。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
気持の喰ひ違ひとか、理解の齟齬とか、感受性の遅速とかにも多少「時」のもつ戯れが考へ合されるとすれば人間はそれぞれの通過する道程に神秘感を持合せずにはゐられないのが当然であらう。
— 鷹野つぎ 『時』 青空文庫
しかし、それが何であるかということよりかも、法水の興味は、むしろこの際、なんらの意義もないと思われる空瓶の方に惹かれていって、それに限りない神秘感を覚えるのだった。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
外側から鍵を下す技巧は相当幼稚なものですが、鐘声はその神秘感ばかりではありません。
— 小栗虫太郎 『聖アレキセイ寺院の惨劇』 青空文庫
しかも、それ等一切の行を御廉一重の奥で行って、決して本体を見せなかったのであったが、それが却って、神秘感を深める効果ともなって、渇仰の信徒が日に増し殖えて行った。
— 小栗虫太郎 『夢殿殺人事件』 青空文庫