擦違
擦違
名詞
標準
文例 · 用例
河野の姿が、横ざまに飛んで、あたふた先へ立って扉を開いて控えたのと、擦違いに、お妙は衝と抜けて、顔に当てた袖を落した。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」 とすらりと立った丈高う、半面を颯と彩る、樺色の窓掛に、色彩|羅馬の女神のごとく、愛神の手を片手で曳いて、主税の肩と擦違い、「さあ、こっちへいらしって、沢山お煙草を召上れ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
女は、帯にも突込まず、一枚|掌に入れたまま、黙って、一帆に擦違って、角の擬宝珠を廻って、本堂正面の階段の方へ見えなくなる。
— 泉鏡花 『妖術』 青空文庫
白熱した日盛に、よくも羽が焦げないと思う、白い蝶々の、不意にスッと来て、飜々と擦違うのを、吃驚した顔をして見送って、そして莞爾……したり……そうした時は象牙骨の扇でちょっと招いてみたり。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
二 客は、なまじ自分の他に、離室に老人夫婦ばかりと聞いただけに、廊下でいきなり、女の顔の白鷺に擦違ったように吃驚した。
— 泉鏡花 『鷭狩』 青空文庫
」 隧道を、爆音を立てながら、一息に乗り越すと、ハッとした、出る途端に、擦違うように先方のが入った。
— 泉鏡花 『半島一奇抄』 青空文庫
」 と怒鳴って擦違いに人が通った。
— 泉鏡花 『第二菎蒻本』 青空文庫
」「いいえね、今擦違った、それ、」 とちょっと振向きながら、「それ、あの、忠兵衛の養母といった隠居さんが、紙袋を提げているから、」「串戯じゃありません。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫