樫材
かしざい
名詞
標準
文例 · 用例
これは言わば簡単なローラーであって、二つの反対に回る樫材の円筒の間隙に棉実を食い込ませると、綿の繊維の部分が食い込まれ食い取られて向こう側へ落ち、堅くてローラーの空隙を通過し得ない種子だけが裸にされて手前に落ちるのである。
— 寺田寅彦 『糸車』 青空文庫
床も壁もみんな虫の食った褐色の樫材で、古さと色あせを見てもこの建物ができて以来そのままのものに違いなかった。
— THE ADVENTURE OF THE SPECKLED BAND 『まだらのひも』 青空文庫
その中に厚硝子張、樫材の固定薬品棚、書類、ビーカー、レトルト、精巧な金工器具、銅板、鉛板、亜鉛板、各種の針金、酸水素|瓦斯筒、電気|鎔接機、天秤、バロメータなんぞが歯医者か理髪店の片隅みたいにゴチャゴチャと重なり合っている……というのがこのアラスカ丸の船長室なんだ。
— 夢野久作 『難船小僧』 青空文庫
井戸桁にまで水車か船にでもなければ使わないような、がっしりした樫材が用いてあった。
— または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊 『死せる魂』 青空文庫
」三 云われて小四郎振り返って見ると、樫材五寸の厚味を持った厳重を極わめた板壁が、ヘナヘナ竹の黐棹の先にブッツリ貫かれているではないか。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
同日エグナアと息子のフレデリックとは樫材の桶割板をもつてシリングを製革工場に襲ひ恐らく局外者の妨害がなかつたら殆ど彼を致死せしめたであらう。
— VIOLENT CREMATION 『無法な火葬』 青空文庫
彼らの跫音によって、古い樫材で腰板を張った壁が鳴った。
— 白い謝肉祭 『踊る地平線』 青空文庫
そのうちに庭に向いた硝子窓を開ける音がするから、猶予はならぬと、廊下にあった樫材の花台でドアの鏡板を打壊しにかかった。
— 久生十蘭 『湖畔』 青空文庫