葬地
そうち
名詞
標準
文例 · 用例
ここぞ陸軍の所轄に属する埋葬地の辺なりける。
— 泉鏡花 『琵琶伝』 青空文庫
五 お通は琵琶ぞと思いしなる、名を呼ぶ声にさまよい出でて、思わず謙三郎の墳墓なる埋葬地の間近に来り、心着けば土饅頭のいまだ新らしく見ゆるにぞ、激しく往時を追懐して、無念、愛惜、絶望、悲惨、そのひとつだもなおよく人を殺すに足る、いろいろの感情に胸をうたれつ。
— 泉鏡花 『琵琶伝』 青空文庫
濶歩埋葬地の間をよぎりて、ふと立停ると見えけるが、つかつかと歩をうつして、謙三郎の墓に達り、足をあげてハタと蹴り、カッパと唾をはきかけたる、傍若無人の振舞の手に取るごとく見ゆるにぞ、意気|激昂して煙りも立たんず、お通はいかで堪うべき。
— 泉鏡花 『琵琶伝』 青空文庫
あれは、たしかマリエットが、埋葬地にある迷宮の入口で発見したのですからね」「その迷宮は、たぶんこれから起る事件の暗示ですわ」と鎮子は静かに云った。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
ところが、ベーリングの埋葬地点に達したとき、それがあたかも、悲劇の前触れでもあるかのように、さっと頬をなでた、砂のように冷たいものがあった。
— 小栗虫太郎 『紅毛傾城』 青空文庫
しかしその話を聞くと、まんざら嘘でもないらしいので、ともかくも念のためにその埋葬地を調べると、盗賊のために発かれたと見えて、その死骸が紛失しているのを発見した。
— 異聞総録・其他 『中国怪奇小説集』 青空文庫
兄としてこのような決心をするようになったのは(彼が私に語ったところでは)、死者の病気の性質が普通のものではないことや、彼女の医師の側の差し出がましい熱心な詮索や、一家の埋葬地が遠い野ざらしの場所にあることなどを、考えたからであった。
— THE FALL OF HOUSE OF USHER 『アッシャー家の崩壊』 青空文庫
明治の名士の墓は、多く青山埋葬地にあり。
— 大町桂月 『東京の近郊』 青空文庫