眷恋
けんれん
名詞
標準
文例 · 用例
冥王の勧めに従い、辺先生に業を求めんとするに人間が我を懼るるを憚り、人に化して汝と同師に事え、一年を経ずして学問既に成り、泰山主簿に任じて二年になるが、兄弟分たる汝と別るるに忍びず、眷恋相伴うて今に至った。
— 鶏に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
ことに常に日影に眷恋してゐるあの八ツ手などは光線のある方へとぐんぐんその枝やら幹やらを延して行つた。
— 田山録弥 『樹木と空飛ぶ鳥』 青空文庫
彼女は、良人に対するような愛慕と眷恋と甘えとを、子供に対すべき母親の、大らかな愛護の中に混ぜ合わせて、彼を育てたのである。
— 宮本百合子 『渋谷家の始祖』 青空文庫
「大和し思ほゆ」の旅情や、「鶴鳴くべしや」の咏嘆、「うらさぶる心さまねし」の憂愁は、その何ものにか眷恋とした下ごころに於て、恋情と相去ること甚だ遠からざるものが感ぜられるではないか。
— 三好達治 『万葉集の恋歌に就て』 青空文庫
「高時は、堂上などに、眷恋はせぬ。
— 八荒帖 『私本太平記』 青空文庫
柾木愛造は、輝くばかりの彼女の舞台姿に、最初の程は、恐怖に近い圧迫を感じるばかりであったが、それが驚異となり、憧憬となり、遂に限りなき眷恋と変じて行った。
— 江戸川乱歩 『蟲』 青空文庫
如何に支那人が平和に眷戀しても、彼等は容赦なく侵略を加へる。
— 桑原隲蔵 『支那人の文弱と保守』 青空文庫