瀟湘
しょうしょう
名詞
標準
文例 · 用例
今の何々八景といふのは、白石手簡に八景のはじめは宋人か元人かにて宋復古と申す畫工云々とあるが、それは夢溪筆談に出てゐる度支員外郎|宋迪の事で、平沙落雁、遠浦歸帆、山中晴嵐、江天暮雪、洞庭秋月、瀟湘夜雨、煙寺晩鐘、漁村夕照、之を八景といつて得意の畫であつたといふのである。
— 幸田露伴 『華嚴瀧』 青空文庫
それからその後|慶長元和の頃、京の圓光寺の長老がゆゑあつて近江|蟄居の時、琵琶湖付近の景を瀟湘八景に擬して當時の人々から詩歌などを得た。
— 幸田露伴 『華嚴瀧』 青空文庫
『さすがに春の名殘も遠からず、つゝじ咲殘り、山藤松にかゝりて、時鳥しばしば過ぐるほど宿かし鳥の便りさへあるを、木つゝきのつゝくともいとはじなど、そぞろに興じて、魂は呉楚東南にはしり、身は瀟湘洞庭に立つ。
— 島崎藤村 『芭蕉』 青空文庫
また鄭谷の淮上与友人別詩にいふ、揚子江頭楊柳春、楊花愁殺渡江人、数声風笛離亭晩、君向瀟湘我向秦と。
— 河上肇 『閑人詩話』 青空文庫
漢詩にある南方支那の瀟湘の夜雨を船に聴くのも斯うした趣であらうか。
— 附 満蒙の歌 『満蒙遊記』 青空文庫
偶然異郷で逢つて、一所に旅行した日数は短かつたが、共に経験した地域と情趣は広く且つ深いので、唐人の「我は瀟湘に向ひ、君は秦に向ふ」と云つたやうな別離の哀情を感じるのであつた。
— 附 満蒙の歌 『満蒙遊記』 青空文庫
この書院を始めたのは、高木文氏の貴重な研究を世に出すのを主眼とし、三四の親しい後輩に職場を拵えてやるのが目的だったらしいが、「瀟湘八景絵の伝来と考察」其他二三の書物を出したきりで、みごとにそして当然失敗してしまった。
— 豊島与志雄 『十一谷義三郎を語る』 青空文庫
結婚の記念に、はじめて陶と逢った箱根三ツ石の湖畔に別荘を新築し、これに瀟湘亭と名をつけた。
— 久生十蘭 『湖畔』 青空文庫