楯無
たてなし
名詞
標準
文例 · 用例
一段高い床間には楯無しの鎧が飾ってある。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
そこへ楯無しを一領加えて源氏八領と総称し、武門に連なる輩はあたかもそれが神威を持った犯すべからざる宝器かのように、尊ぶことに慣らされていたが、新羅殿以来楯無しだけは甲斐の武田が領して来た。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
楯無しの鎧を背後にして動かざること山の如く端然と坐っていた信玄も少からず好奇心を湧かせたと見えて、長老の様子を眺めている。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
「これよりすぐに打ち立つよう」「かしこまってござります」「去年の五月、端午の節句に、楯無しの鎧を盗み取ったような、素晴らしい機智を働かせて庄三郎を召し捕って参れよ」「かしこまってござります」 一礼すると甚太郎は、スルスルとご前を辷り出たのである。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
去年の五月、端午の節句、楯無しの鎧を盗んだような、あの素晴らしい機智をもって召し捕って参れと云うのだからな。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
鳥はいぬかや大鳥は、……信玄公の坊主頭、あの時はよっぽど驚いたと見える」 去年と云うから弘治三年、端午の節句の夜であったが、家例によって楯無しを飾り、信玄は酒宴を催した。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
その時信玄は楯無しについて一場の物語を物語った。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
……つまり楯無しは武田家の守護神、武田の当主が持っていればこそその霊験は顕著ではあるが他人はこれへさわることさえならぬ。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫