梔子色
くちなしいろ
名詞
標準
文例 · 用例
薄い梔子色の麻のタイユウルの胸の襞のようなものは、よく見ると、大胆な葡萄の模様を浮彫のように裏から打ちだしたもので、葡萄の実とも見えるガーネットの首飾と照応して、日本ではたいていの場合みじめな失敗に終るバロック趣味を成功させていた。
— 久生十蘭 『黄泉から』 青空文庫
牛乳の煮立つのに心づき男は小鍋を卸してコップにうつすと、女は丁度化粧を終り紫地に飛模様の一枚小袖に着換えて縫のある名古屋帯をしめ、梔子色の綾織金紗の羽織を襲ねて白い肩掛に真赤なハンドバックを持ち、もう一度顔を直すつもりで鏡の前に坐った。
— 永井荷風 『ひかげの花』 青空文庫
一人が山梔子色の狩衣をつけていれば、一人は同じ山吹色の折目正しい狩衣を着ていた。
— 室生犀星 『姫たちばな』 青空文庫
そしてそこらの陰地やじめじめした水溜の附近を、揃ひのくちなし色の羽をさも見せびらかすやうに、ひよくりひよくりと気取つた身ぶりで長い尻尾を振りながら、爪立ちして歩き廻つてゐる。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
――たつた一つ、花の内ぶところに隠されてゐる襞の濃紫をほかにすると、何もかもが黄づくめで、花の呼吸ともいふべきその高い匂さへもが、いくらか苦味が利いて、くちなし色を思はせるものがある。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
くちなし色の車つらなつてくる車のあとに また車がある。
— 大手拓次 『藍色の蟇』 青空文庫
さうして、くちなし色の車のかずが河豚のやうな闇のなかにのまれた。
— 大手拓次 『藍色の蟇』 青空文庫
くちなし色の肉を盛る夜のさかづきです。
— 大手拓次 『藍色の蟇』 青空文庫
ウィキペディア
梔子色(くちなしいろ、支子色)は、日本の伝統色の1つ。別名は「謂はぬ色」。アカネ科の低木である、クチナシの果実に由来する染料で染め出す。仕上がりは赤黄色。
出典: 梔子色 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0