悪竜
あくりゅう
名詞
標準
文例 · 用例
見ろ、あの竜宮に在る珠は、悪竜が絡い繞って、その器に非ずして濫りに近づく者があると、呪殺すと云うじゃないか。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」 と膝に手を置き、片面を、怪しきものの走るがごとく颯と暗くなった海に向けて、蝕ある凄き日の光に、水底のその悪竜の影に憧るる面色した時、隼の力の容貌は、かえって哲学者のごときものであった。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
想うに渠が雪のごとき膚には、剳青淋漓として、悪竜焔を吐くにあらざれば、寡なくも、その左の腕には、双枕に偕老の名や刻みたるべし。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
シャルコーの随想の中には、ケルンで、兄が弟に祖先は悪竜を退治した聖ゲオルクだと戯談を云ったばかりに、尼僧の蔭口をきいた下女をその弟が殺してしまった――という記録が載っている。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
すなわち『大法炬陀羅尼経』に、悪世にこの世界|所有悪竜大いに猛威を振い、毒蛇遍満して毒火を吐き人畜を螫し殺し、悪人悪馬邪道を行い悪行を専らにすと説かれた。
— 田原藤太竜宮入りの話 『十二支考』 青空文庫
) メデユーサと称ふ女悪魔の従妹であるボーラスは夫を殺し、新しい夫を迎へるために、先の夫との子供であるパトリツクを邪魔にした上句玄関番の悪竜に命じて、彼を殺さうとした。
— 牧野信一 『南風譜』 青空文庫
悪竜となりて苦しみ猪となりて啼かずば人の生み難きかな 産科の近江湖雄三博士を感憤せしめた歌で、同博士が独逸から無痛安産法を携へて帰朝されたのもこれに本づくのである。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
悪竜が勝つか、それとも侠虎が勝つか。
— 海野十三 『蠅男』 青空文庫