打ち交い
うちかい
名詞
標準
文例 · 用例
小庭を隔てた奧座敷で男女打交りのひそ/\話、本所も、あの餘り奧の方ぢやあ私厭アよ、と若い聲の媚めかしさ。
— 泉鏡花 『彌次行』 青空文庫
泣く聲、喚く聲、哀に救助を求むる聲は、悽まじき怒濤の音と打交つて、地獄の光景もかくやと思はるゝばかり。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
つづく下枝の節の処へ、構わない、足が重るまでも一所に踏掛けて、人形の首を、藁苞にさして、打交えた形に、両方から覗いて、咽喉に嵌めて、同時に踏はずして、ぶらんこに釣下ろうという謀反でしてなあ。
— 泉鏡花 『河伯令嬢』 青空文庫
髪結床の下職なんぞするもんじゃアありませんね、せめて字でも読めりゃ何とか言って近づくんですが、一の字は引張って、十文字は組違え、打交えは鷹の羽だと、呑込んでいるんじゃあ為方がありません、私あもう詰らねえ。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
お節にや拵ふるに、このあたり門を流るゝ小川に浸して、老若男女打交り、手に手に之を洗ふを見た。
— 泉鏡太郎 『城の石垣』 青空文庫
とある家にて百万遍の念仏会を催し、爺嫗打交りて大なる珠数を繰りながら名号唱えたる、特に声さえ沸ゆるかと聞えたり。
— 幸田露伴 『知々夫紀行』 青空文庫
長唄が畢ってから、主客打交っての能があって、女芸人らは陪観を許された。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
碌に削りもしない白木を打交えた腰掛が二つばかり、腰を下して渋茶をすすっていると、「喜遊次とは御前か」 と背後からぴったり左手へ寄りそって立った男。
— 直木三十五 『相馬の仇討』 青空文庫