綱麻
つなそ
名詞
標準
文例 · 用例
そうしてちょっとでもあたしが慰めの言葉を躊躇している時には、たちまち声を荒くして、ああ僕は不幸だ、誰も僕のくるしみをわかってくれない、僕は世界中で一ばん不幸だ、孤独だ等とおっしゃって、髪の毛をむしり、せつなそうに呻くのでございます。
— 太宰治 『新ハムレット』 青空文庫
そしてその広い赤黒いせなかが木の枝の間から落ちた日光にちらっと光ったとき小十郎は、う、うとせつなそうにうなって谷をわたって帰りはじめた。
— 宮沢賢治 『なめとこ山の熊』 青空文庫
そうして、かなしそうな顔で、こちらをみて、その白い手を、せつなそうにこすりました。
— DEN LILLE HAVFRUE 『人魚のひいさま』 青空文庫
」 こういって、おねえさまたちは、いかにもせつなそうにため息をつくと、波のなかにすがたをかくしました。
— DEN LILLE HAVFRUE 『人魚のひいさま』 青空文庫
やがて、熊城は二本の糸を手にして現われたが、彼はせつなそうな溜息を吐いて、「法水君、君はなんという不思議な男だろう」「けれども、はたして人形がこの室から出たかどうか、それを明白に証明するものはない。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
そりゃ、男衆にだったら、そんな時の小式部さんをさ――あの憎たらしいほど艶やかなししむらなら、大抵まあ、一日経っても眼が飽ちくなりやしまいと思う」 とお筆でさえも、上気したかのように、そこまで語り続けたとき、彼女はいきなり言葉を截ち切って、せつなそうな吐息を一つ洩らした。
— 小栗虫太郎 『絶景万国博覧会』 青空文庫
くやしゅうおざんす」 彼女は張りつめた胸をせつなそうに抱えて、蒲団の上に又うつ伏してしまった。
— 岡本綺堂 『籠釣瓶』 青空文庫
』と、彼は弱々しい声で言ったが、チチコフのことを聞くと、せつなそうに溜息をついて、こう附けくわえたそうだ。
— または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊 『死せる魂』 青空文庫