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漂渺

漂渺
名詞
1
標準
文例 · 用例
あたしがあなたなら嬉んで金魚屋さんになりますわ」 真佐子は漂渺とした、それが彼女の最も真面目なときの表情でもある顔付をして復一を見た。
岡本かの子 金魚撩乱 青空文庫
「そりゃ、そうに違いありませんけれど、やっぱりたかが金魚ですからね」 すると真佐子は漂渺とした顔付きの中で特に煙る瞳を黒く強調させて云った。
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すると真佐子は漂渺とした白い顔に少し羞をふくんで、両袖を掻き合しながら云った。
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漂渺とした真佐子の美――それは豊麗な金魚の美によって髣髴するよりほかの何物によってもなし得ない。
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彼女は子供らしく、一度ちょっとドアの蔭へ顔を引込ませ、今度改めてドアを公式に開けて入って来たときは、胸は昔のごとく張り、据り方にゆるぎのない頸つき、昔のように漂渺とした顔の唇には蜂蜜ほどの甘みのある片笑いで、やや尻下りの大きな眼を正眼に煙らせて来た。
岡本かの子 金魚撩乱 青空文庫
あの人まだ独身なんですもの」「金魚の技師の復一君のことかね」「そうです」 すると夫はやや興奮して軽蔑的に「君もその人と結婚したらよかったんだろう」 すると真佐子は相手の的から外れて、例の漂渺とした顔になって云った。
岡本かの子 金魚撩乱 青空文庫
かの女はそろ/\出かかつた月の光を吸ひつゝ木の茂みから来る理智的な湿り気と、大地から蒸発する肉情的な蘊気の不思議な交錯の中に漂渺とした気持ちになつて、いくつか生垣について角を折れ曲つた。
岡本かの子 夏の夜の夢 青空文庫
滋養を摂らないためか、視力の弱つたかの女の眼に、川は愈々、漂渺と流れた。
岡本かの子 青空文庫