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襞々

襞々
名詞
1
標準
文例 · 用例
その黄色い皮膚、薄汚い襞々は、まるで因果絵についた、折れ目のように薄気味悪く、フローラは全身の分泌物を絞り抜かれたような思いだった。
小栗虫太郎 紅毛傾城 青空文庫
襞々から湧いた雲は、平常ただ一面に聳えて居る岩の山を、甚だ奥深いものに見せて呉れた。
若山牧水 みなかみ紀行 青空文庫
幾里かに亘って押し聳えた岩山の在りとも見えぬ襞々にほのぼのとして咲きそむる山ざくらの花の淡紅色は、躍り易い少年の心にまったく夢のような美しさで映ったものであった。
若山牧水 みなかみ紀行 青空文庫
さもない部分の婦人たちにとって、そういう雑誌はむずかしすぎるという目で迎えられ、日本の婦人の社会生活の全局から見れば、その潮先ははやくつよく進み出ているが、重くひろくくらい襞々をたたんだその裾は伝統のなかに引きすえられている実状から、営利の事業として出版をつづけてゆかれなくなった次第であったろう。
宮本百合子 婦人の読書 青空文庫
父がヴェル・ヴェロネーズをその襞々に塗り畳んで行つたあの波の秘密を。
神西清 恢復期 青空文庫
さうしたその日その日のめまぐるしい廻転が、事件と人間との実に思ひがけない組合せをその襞々に畳んでゐて、さすがのこの未来過多症も、最初のうちは満足を自覚するいとまもないほど、ひたすら送迎に忙殺されてゐた。
神西清 灰色の眼の女 青空文庫
君や君の母上の最近のたよりによると、君はすでに恢復期を終らうとして、カルシウム注射の痛さもやつと間遠になつたといふ話だけれど、肉体の疲労はまだ君のこころの襞々に潜んでゐて、時たまああした言葉をささやくのではないのか。
神西清 母たち 青空文庫