飛礫
つぶて
名詞
標準
文例 · 用例
だが、そのあとは、むろんこちらからも可なりせっせと葛岡にだけは催促のため手紙は出しますものゝこれもおきみにポストへ持って行かせるより仕方がありませんから途中でどうなりますことやら梨の飛礫と申しましょうか、ついにその甲斐ありません。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
わがこれにえ堪へで、前なる車の踏板に飛び乘りたるを、これに乘れる寢衣着たる翁とやさしき花賣娘とは、早くも惡劇のためよりは避難のためと見て取りぬと覺しく、娘は輕く我手背を敲き、例の玉のつぶて二つ投げかけしのみなれど、翁の打つ飛礫は雨の如くなりき。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
音よりも先に激しい気圧が耳を、顔を、体をハタッと撃って、なにか無数の泥飛礫みたいなものがバラバラッと顔中に打当るのをボンヤリ意識しながら、思わずよろめいた。
— 大阪圭吉 『坑鬼』 青空文庫
と、あたかも投げられた飛礫か、甲乙なしに一団となり空を斜めに翔け上った。
— 国枝史郎 『大鵬のゆくえ』 青空文庫
奴姿の大男が人家の軒から投げた飛礫が若衆の危難を救ったのである。
— 国枝史郎 『紅白縮緬組』 青空文庫
」 心配気に額部を曇らせて、千浪がそっと、戸外のやみに眼を配るとき、風は、いつの間にか烈しくなっていて――ぱら、ぱら、ぱらと屋根を打つ飛礫のような雨の一つ、ふたつ。
— 林不忘 『煩悩秘文書』 青空文庫
さんざん考えあぐんだ末生易しい兵法ではいけないと見て、お艶の影を認め次第|飛礫の雨を降らせるようにと番頭小僧へ厳命を下しておいたが、その結果は、小石の集まる真ん中でお艶をして唯一得意の「お茶漬さらさら」をやらせるに止まり、顕の見えないことおびただしかった。
— お茶漬音頭 『釘抜藤吉捕物覚書』 青空文庫
」と物凄い声がふたたび森林から聞こえたが、すぐにバラバラバラと飛礫が雨のように降って来た。
— 国枝史郎 『南蛮秘話森右近丸』 青空文庫