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名詞
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標準
文例 · 用例
けれども、一夜、転輾、わが胸の奥底ふかく秘め置きし、かの、それでもやっと一つ残し得たかなしい自矜、若きいのち破るとも孤城、まもり抜きますとバイロン卿に誓った掟、苦しき手錠、重い鉄鎖、いま然一笑、投げ捨てた。
太宰治 創生記 青空文庫
早朝、練兵場の草原を踏みわけて行くと、草の香も新鮮で、朝露が足をぬらして冷や冷やして、心が然とひらけ、ひとりで笑い出したくなるくらいである、という家内の話であった。
太宰治 美少女 青空文庫
渠は親もあらず、同胞もあらず、情夫とてもあらざれば、一切の収入はことごとくこれをわが身ひとつに費やすべく、加うるに、達豪放の気は、この余裕あるがためにますます膨張して、十金を獲れば二十金を散ずべき勢いをもって、得るままに撒き散らせり。
泉鏡花 義血侠血 青空文庫
されども渠はついに失わざるべからざるか、豪放|達の女丈夫も途方に暮れたりき。
泉鏡花 義血侠血 青空文庫
眼界|濶然として目黒にけ、大崎に伸び、伊皿子かけて一渡り麻布を望む。
泉鏡花 白金之絵図 青空文庫
言ふまでも無く、其の面影、其の姿は、古城の天守の囚と成つた、最惜い妻を其のまゝ、と然として悟ると同時に、腕には斧を取る力が籠つて、指と指とは鑿を持たうとして自然で動く――時なる哉、作の頭に飾るが如く、雲を破つて、晃々と星が映つた。
泉鏡太郎 神鑿 青空文庫
」 と振返って、「ですかい、」と言いつつ一目見たのは、頭禿に歯なるものではなく、日の光|射す紫のかげを籠めた俤は、几帳に宿る月の影、雲の鬢、簪の星、丹花の唇、芙蓉の眦、柳の腰を草に縋って、鼓草の花に浮べる状、虚空にかかった装である。
泉鏡花 春昼後刻 青空文庫
何故なら、かみ手は、然うして山が迫つて、流も青く暗いのに、橋を境に下流の一方は、忽ち然として磧が展けて、巖も石も獲ものの如くバツと飛ばして凄いばかりに廣く成る。
泉鏡太郎 飯坂ゆき 青空文庫