捨猫
捨猫
名詞
標準
文例 · 用例
松江に居た時も焼津に居た時も、道に捨猫さえ見れば拾って帰り、幾疋でも飼って育てた。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫
――一箇半箇――捨猫がうろついてゐる、彼女は時々いら/\した声で鳴く、自分の運命を呪ふやうな、自分の不幸を人天に訴へるやうに鳴く、そして食べるものがないので、夜蝉を捕へる、その夜蝉がまた鳴く、断末魔の悲鳴をあげる。
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫
途中、捨猫の仔がまつはり鳴くには閉口した、私が旅しないのだつたら、連れて戻つて飼ふのだけれど。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
捨猫がしきりに鳴く、鳴いて鳴いて鳴きつくして死ぬるだらう、私はどうすることも出来ない。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
いづれほどなく死ぬだらう捨猫が泣く、捨猫よ、汝の性のつたなきを泣け!
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
これを、前回にいつた『巡査と二匹の捨猫』のやうな筆致で心と境とのぴたりと有機的に融合してゐる筆致で、また深く熱情的に考へたやうな心持で、縦横にゑがいたなら、それこそ立派なプロレタリアートの小説が打ち立てられるであらうけれども――。
— 田山録弥 『三月の創作』 青空文庫