宣る
のる
動詞
標準
文例 · 用例
名宣る程の用向きではないが……」 平馬は落付いて笠を脱いだ。
— 夢野久作 『斬られたさに』 青空文庫
その後さる町家から妻を迎えてからは、とうとうこれを本職のようにして上つ方に出入りをはじめ、自ら鼓の音に因んだ音丸という苗字を名宣るようになった。
— 夢野久作 『あやかしの鼓』 青空文庫
「油売り松並荘九郎がともかくも美濃を平定し斎藤道三と宣る浮世だ。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
まず小源太が先に立ち、その後から蔵人が続き、正面の小部屋にはいった時には、常陸の爺と宣るところの、葛の衣裳を着た老人も、その侍童の菊丸も、まだ寝ずに起きていた。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
ところが……」 と窩人の長の、杉右衛門は屹と眼を瞋らせ、彼の前にずらりと並んでいる五百に余る窩人の群を隅から隅まで睨み廻したが、「ところがこの頃どこから来たものか白法師と自分から名を宣る奇怪な法師がこの山へ来て、『敵を愛せよ』というようなことを熱心に説法し出した。
— 国枝史郎 『八ヶ嶽の魔神』 青空文庫
それは金限の御家人の伜で、宮河雪次郎と宣る男で後年号を雪斎と云った。
— 国枝史郎 『赤格子九郎右衛門』 青空文庫
又文久年間には、高倉三位と宣る公卿が、贋勅使として入り込んで来た。
— 国枝史郎 『大捕物仙人壺』 青空文庫
」「左様」と鹿十郎は云ったものの、どうやらその後を云いにくそうに暫くじっと俯向いていたが、「卒爾のお尋ねではござりますが、もしやお屋敷の召使中にお菊と宣るものござりましょうか?
— 国枝史郎 『赤格子九郎右衛門の娘』 青空文庫