転期
てんき
名詞
標準
文例 · 用例
観世流は以上の如く変化して来た能楽に、又一転期を劃したもので、部分的にも全体的にも華麗円満な演出を理想としている。
— 夢野久作 『能とは何か』 青空文庫
転期が、私の生活をすっかり変ったものにする変転期が、私を待っている。
— ――獄中手記―― 『何が私をこうさせたか』 青空文庫
これ従来の貧民|救恤と全くその精神を異にするところにして、かかる思想が法律の是認を経るに至りたる事は、けだし近代における権利思想の一転期を画すべきものである。
— 河上肇 『貧乏物語』 青空文庫
彼が妻に、大きな転期の来る迄はどこまでも導いてやろう、と云ったと云うことや、彼が、宗教によって培われた純粋さを飽くまで守りたいと云ったのはどう云う意味だろうとなど。
— 宮本百合子 『一九二三年夏』 青空文庫
すべてものの考え方の一変転期にある事を予想するのである。
— 一九一六年(大正五年) 『日記』 青空文庫
其那有様で、今は西洋洗濯でまあどうやら行って居るのだけれ共、主人が考えなしにポンポンと借りて来る金を返すにいつも追われる様なので、子供の時分から貧困に頑なにさせられたお関の病的な気持は又もう一度巡って来た変転期にすっかりかたく強められて仕舞ったのである。
— 宮本百合子 『お久美さんと其の周囲』 青空文庫
そして、厄年などというものは、人々の生理的心理的の一転期を警告的に教えた、故人の符牒に過ぎないものだと思ってい、またそれだけのことだと信じていたのに、今度の機会によって、それがどんなに心の底の方で、漠然宿命的な色を帯びた不安となって潜んでいるのを知ったかとお話ししながら、フト淋しい心持になった。
— 宮本百合子 『一つの芽生』 青空文庫
今日の歴史によって顧れば、ゴーリキイにとって苦しかったこの一八八〇年代の後半は、ちょうどロシアの解放運動が一転期に際した時代であった。
— 宮本百合子 『マクシム・ゴーリキイの発展の特質』 青空文庫