春宮
とうぐう
名詞
標準
文例 · 用例
下諏訪|春宮に詣り、五里八丁下諏訪の駅に到る。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
いや、今十内が云った里げしきの「さすが涙のばらばら袖に、こぼれて袖に、露のよすがのうきつとめ」と云う文句さえ、春宮の中からぬけ出したような、夕霧や浮橋のなまめかしい姿と共に、歴々と心中に浮んで来た。
— 芥川龍之介 『或日の大石内蔵助』 青空文庫
宋の画苑に春宮秘戯図ある故、枕草紙を春宮とも言へど、春宮は元来東宮のことなり。
— 芥川龍之介 『念仁波念遠入礼帖』 青空文庫
第二十五 其年も事なく暮れて、明くれば治承四年、淨海が暴虐は猶ほ已まず、殿とは名のみ、蜘手結びこめぬばかりの鳥羽殿には、去年より法皇を押籠め奉るさへあるに、明君の聞え高き主上をば、何の恙もお在さぬに、是非なくおろし參らせ、清盛の女が腹に生れし春宮の今年僅に三歳なるに御位を讓らせ給ふ。
— 高山樗牛 『瀧口入道』 青空文庫
春宮をぬけだして夜遊びして、一人で戻つてきたり、婦女子の言葉をまに受けて粗暴な行ひが多く、機密が外へもれてしまふ、それが罪状の全てゞあつた。
— 坂口安吾 『道鏡』 青空文庫
春宮をぬけだして夜遊びして、一人で戻ってきたり、婦女子の言葉をまに受けて粗暴な行いが多く、機密が外へもれてしまう、それが罪状の全てであった。
— 坂口安吾 『道鏡』 青空文庫
これは桂文楽君に聞いた話であるが先年、名古屋の著名人たちの会合に同君と春團治君が招かれた時、春團治、席につくがいなや立ち上がって羽織を脱ぎ、借りてきた衣紋竹へ自らその羽織を裏返しにして掛けたら何とその羽織の裏一面が巧緻な春宮秘戯図!
— 正岡容 『艶色落語講談鑑賞』 青空文庫
春宮秘戯図といえば、これは東京の話だが、昭和戦前までいた坊主頭で寸詰まりの愛嬌のある顔をした春風亭柳丸という爺さん、売り物はおよそ前代の漫芸ばかりで百まなこ、ひとり茶番、阿呆陀羅経には犬猫の物真似。
— 正岡容 『艶色落語講談鑑賞』 青空文庫