迫り出し
せりだし
名詞
標準
文例 · 用例
我中情は此の如く詠歎の聲を迫り出して、我をしてダヰツトの故事の最も當時の感興を寓するに宜しきを覺えしめしなり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
そこで、彼ら集団の最後の不平はいかに一切が不明であるとは云へ、故障線の恢復する可き時間の予測さへ推断し得ぬと云ふ道断さは不埒である、と迫り出した。
— 横光利一 『頭ならびに腹』 青空文庫
いったい主人の仕事をいつ盗んだか、主人の仕事を手伝うということが主人の仕事を盗むことなら君だって主人の仕事を盗んでいるのではないかといってやると、彼は暫く黙ってぶるぶる唇をふるわせてから急に私にこの家を出ていけと迫り出した。
— 横光利一 『機械』 青空文庫
日の暮はだんだん迫り出した。
— 芥川龍之介 『夢』 青空文庫
モオパスサン、ボオドレエル、ストリントベリイ、イブセン、シヨウ、トルストイ、…… そのうちに日の暮は迫り出した。
— 芥川龍之介 『或阿呆の一生』 青空文庫
…… 四十三 夜 夜はもう一度迫り出した。
— 芥川龍之介 『或阿呆の一生』 青空文庫
丁度ズボンをはき終つて、ボタンをはめてゐるところで、駄夫が斯ういふ姿勢のまま鋭く戸口を窺つてゐたら、痩せた頭が迫り出してきて次第に半身立ち現れたが、そのまま這ひ込むやうにして戸口の壁際に吸ひつき静かに坐つた。
— 坂口安吾 『竹藪の家』 青空文庫
そこで見た家の中で、コットン・メイザー時代に建っていなかった家は三軒もなかったに違いないよ――少なくとも二軒には迫り出しがあったし、ほとんど忘れられた前ギャンブレル型の尖った屋根のラインを見たことも一度はあったと思う。
— H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft 『ピックマンのモデル』 青空文庫