揉み消す
もみけす
動詞
標準
文例 · 用例
勿論、大金には相違ねえが、主人の命も助かり、丸多の店も無事に助かるということを考えれば、高いようで廉いものだ」 この事件を揉み消すには、まず岡っ引の口を塞がなければならないというので、万次郎は多左衛門から百両ずつの金を二度うけ取った。
— 正雪の絵馬 『半七捕物帳』 青空文庫
「ヤア、火事だ火事だ」と、周章てて揉み消す。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
吾輩との妥協を絶望と見て取って暗々裡に事件を揉み消すと同時に、同じような手段でもって総督府の誰かを動かしたものと見える。
— 夢野久作 『爆弾太平記』 青空文庫
その険しい声の後から右翼の新聞売子が、またそれを揉み消すような声を張り上げて迫ってゆく。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
」 こう云って矢代は笑いにまぎらせたついでに、投げかけた暗影を一挙に揉み消す曖昧な力をさらに引き出そうと努めながら、「つまり、あなたの方が間違いを起し易いというのですよ。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
一つはそれがまた外人たちに油断を与え、笑いを立てる源ともなりつつ、この平原の中の退屈さを揉み消す作用も自然にして来たのである。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
何か彼はこの問題の落ちつかぬ性質を見抜き、さきから揉み消す運動を繰り返している自分の努力も知らぬ遊部に、幾らか腹立たしさを感じて来ている風だった。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
二人の周囲の誰も結婚を赦しているときに、このたびは矢代自身の裡から膨脹する不安を覚えて、それを今ごろ揉み消すことに気を使う夜汽車だった。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫