裾風
すそかぜ
名詞
標準
文例 · 用例
しかし、戸口を跨いだとき、滝人は生暖かい裾風を感じて、思わず飛び退った。
— 小栗虫太郎 『白蟻』 青空文庫
二階の最前の部屋へ入ってペタンと坐り、傍らへ手燭を置いたとたん、裾風でだろうか、音もなく灯は消えてしまった。
— 正岡容 『小説 圓朝』 青空文庫
白粉燒けのした、蒼黒い細面、口紅は少し濃く、長い眉、物を言ふのに唇を曲げるのは嫌味ですが、歩くと芳芬として裾風が匂ふのです。
— 闇に飛ぶ箭 『錢形平次捕物控』 青空文庫
八五郎がどんなにでっかい鼻をクン/\さしたところで、裾風一つ立てるような不たしなみな立居はしません。
— 鬼の面 『銭形平次捕物控』 青空文庫
しとやかなうちに機轉がきいて、狹い部屋に押し並んだ男客の間を通り乍ら、裾風一つ立てないたしなみです。
— 鼬小僧の正体 『錢形平次捕物控』 青空文庫
八五郎がどんなにでつかい鼻をクンクンさせたところで、裾風一つ立てるやうな不たしなみな立居はしません。
— 鬼の面 『錢形平次捕物控』 青空文庫
妻木右太之進は、全身の官能が動員されて、一種不安な――が快適な焦燥を感じ始めると、何処からともなく現われた一人の女性が、右太之進の右手に、ほのかな裾風を起してふわりと坐ったのです。
— 枕の妖異 『奇談クラブ〔戦後版〕』 青空文庫