撒
撒
名詞
標準
文例 · 用例
ああ いのちの孤獨、われより出でて徘徊し、歩道に種を蒔きてゆく、種を蒔くひと、みづを撒くひと、光るしやつぽのひと、そのこども、しぬびあるきのたそがれに、眼もおよばぬ東京の、いはんかたなきはるけさおぼえ、ぎたる彈く、ぎたる彈く。
— 萩原朔太郎 『ぎたる彈くひと』 青空文庫
神社の日向を、ゆるゆる歩み、知人に遇へば、につこり致し、飴売爺々と、仲よしになり、鳩に豆なぞ、パラパラ撒いて、まぶしくなつたら、日蔭に這入り、そこで地面や草木を見直す。
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫
その一つに繻絆一枚で腰掛けて老人の読んでゐた新聞に、三十何年とか撒水車を挽いてゐるといふ男の笑つて汗を拭いてゐる写真が通りがかりに見えた。
— 中原中也 『夏の夜の話』 青空文庫
だが夕方が来ると、先生ははだしになつて家のまはりや庭に水を撒かれる、奥さんはかひがひしく夕餉の仕度をされる。
— 〔私が貧乏で〕 『夏』 青空文庫
私も水撒きの手伝ひをする。
— 〔私が貧乏で〕 『夏』 青空文庫
その後には、蝸牛が這いまわった後のように、彼の内臓から吐き出された、糊のような汚物が振り撒かれた。
— 葉山嘉樹 『労働者の居ない船』 青空文庫
ところが、この玉石奴、数百年甲羅を干して眠ってたところへ、いきなりハッパをかけられたので、ひどく驚いたものとみえて、拳骨大の涙をバラ撒いたのだった。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
余はまたここにエベネゼル(助けの石)を立て、サムエルとともにこれに記していう「エホバここまで我を助け給えり」と(撒母耳前書七章十二節)。
— 内村鑑三 『基督信徒のなぐさめ』 青空文庫