御多分
ごたぶん
名詞
標準
文例 · 用例
だが、無|論お互に胸中|密に「なアに己の方が……」と思つてゐる事は、それが將棋をたしなむ者の癖で御多分に洩れざる所。
— ―將棋いろいろ― 『下手の横好き』 青空文庫
元來|私は少年時代から寫眞をやる、昆虫|採集をやる、草花を作る將棋をさすといふ風で、少々|趣味の多過ぎる方なのだが、そして、一時それぞれにかつと熱中する方なのだが、球突も御多分に洩れず、少し味が分り出すともう面白くてたまらなくなつて來た。
— 南部修太郎 『文壇球突物語』 青空文庫
秦氏も御多分に漏れず――もっとも色が白くて鼻筋の通った処はむしろ兎の部に属してはいるが――歩行悩んで、今日は本郷どおりの電車を万世橋で下りて、例の、銅像を横に、大な煉瓦を潜って、高い石段を昇った。
— 泉鏡花 『売色鴨南蛮』 青空文庫
美術、舞踊、文学、すべて御多分に洩れず、それぞれの紋切型があり、この型を逸れることはむつかしいのである。
— 織田作之助 『神経』 青空文庫
」「御多分には漏れませんな。
— 泉鏡花 『露肆』 青空文庫
」 葛木は聴いて、「私も御多分には漏れんのだぜ。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
矢張御多分には漏れぬ方で、頭から今の雫を浴びた。
— 泉鏡太郎 『錢湯』 青空文庫
ただ一束ねの滑かな雪で、前髪と思うのが、乱れかかって、ただその鼻筋の通った横顔を見たばかり……乳の辺に血が染んだ、――この方とても、御多分には漏れぬ、応挙が描いた七難の図にある通り。
— 泉鏡花 『沼夫人』 青空文庫