綿羊
めんよう
名詞
標準
文例 · 用例
木がくれのあやなき闇を、 声細くいゆきかへりて、熱植ゑし黒き綿羊、 その姿いともあやしき。
— 宮沢賢治 『文語詩稿 五十篇』 青空文庫
况んや此海底戰鬪艇は、波威に沈降する事三十|呎乃至五十|呎、其潜行を持續し得る時間は無制限であるから、一度此軍艇に睥睨まれたる軍艦は、恰も昔物語の亞剌比亞の沙漠の大魔神に魅られたる綿羊のごとく、遁れんとして遁るゝ能はず、鬪はんか、速射砲もガツトリング砲も到底力及ばぬ海底の此大怪物を奈何せん。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
この映画の中に、おびただしい綿羊の群れを見せたシーンがある。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
してみると、人間という動物にも、やはりどこか綿羊と共通な性質があるものと見える。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
たとえば紡績機械の流動のリズムと、雪解けの渓流のそれと、またもう一つ綿羊の大群の同じ流れとの交互映出のごときも、いくらかそうである。
— 寺田寅彦 『映画雑感(1)』 青空文庫
Whisky の香のごときしぶき、かなしみ……そこここにいぎたなき駱駝の寝息、見よ、鈍き綿羊の色のよごれに饐えて病む藁のくさみ、その湿る泥濘に花はこぼれて紫の薄き色|鋭になげく……はた、空のわか葉の威圧。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
さうしてゴツホの燬きつくやうな太陽が東にあがり西に赤々とくるめき廻る真ん中で、この大麻栗の緑葉の渦巻に、真つ白な花穂がいくつもいくつも垂れ下つて、まるで妊娠になつた綿羊の綿毛のやうに重々しく咲き盛つた。
— 愛の詩集のはじめに 『愛の詩集』 青空文庫
その訳は昔老婆あって綿羊を飼う。
— 羊に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫