尻切り
しりきり
名詞
標準
文例 · 用例
いつまでも聴き手を焦らしているのが能でもありませんから、ちっと尻切り蜻蛉のようですが、おしまいの方は手っ取り早くお話し申しましょう」と、半七老人は云った。
— むらさき鯉 『半七捕物帳』 青空文庫
難に会ったものは近所の町医で、被害品は金が三両、第二は質屋の屋尻切り、第三は酒のうえで朋輩どうしがけんか口論に及び、双方傷をうけたからしかるべく取り扱ってくれという訴えでした。
— 笛の秘密 『右門捕物帖』 青空文庫
藤四郎の眼にとまった彼の男は、石原の松蔵という家尻切りのお尋ね者であった。
— 張子の虎 『半七捕物帳』 青空文庫
はげた茶の帽子に、藍縞の尻切り出立ちと、陽炎さえ燃やすべき櫛目の通った鬢の色に、黒繻子のひかる奥から、ちらりと見せた帯上の、なまめかしさ。
— 夏目漱石 『草枕』 青空文庫
近頃は、押込、屋尻切りの修業までしているからの」「困ったなあ、兄貴」 庄吉は、立ったままで、吉の方へ、首を傾げて、吉の顔を見た。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
汝は泥棒か家尻切りか、他人の館へ忍び込み、大事な女を盗もうとは、それでも達者かそれでも達者か!
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
」また、「人間わづか五十年、一人殺すも千人殺すも、とられる首はたつた一ツ、とても悪事を仕出したからは、これから夜盗、家尻切り……。
— 永井荷風 『虫干』 青空文庫
継ぎはぎだらけの尻切り半纒にどんつく布子を重ね、古|股引に草鞋ばきである。
— 山本周五郎 『風流太平記』 青空文庫