打ち漏らす
うちもらす
動詞
標準
文例 · 用例
「打ちもらすな」 と、追撃して来た徳川勢も、そこの川原まで来ると、内藤四郎左衛門の一手が、横列を作って、各※、槍の柄を横にならべ、「止まれッ」「止まり召されっ」「長追いは相成らぬと、御本陣からの命でござるぞ」「長追いは無用」 と、口々に云って、この急追して来た怒濤をあとへ押しもどした。
— 第十分冊 『新書太閤記』 青空文庫
山木兼隆を討ちもらすな。
— 吉川英治 『源頼朝』 青空文庫
「討ちもらすな」「ひとりも城戸の内へ生かして帰すな」 急追して熄まない源氏の人々は口々にそう云い合った。
— 吉川英治 『源頼朝』 青空文庫
ざんねんながら、どうやら取り逃がしたらしゅうござります」「いや、民部がしいた八門の陣、その逃げ口には、伏兵がふせてあるゆえ、かならず討ちもらす気づかいはない」 とふたりが、馬上で語り合っているすぐうしろで、ふいに、悪魔の嘲笑が高くした。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫
討ちもらすな」 と、すぐ物頭に令し、七手の鉄砲組を先に急派して、峰の岨路や谷の木蔭などに足場を取らせておいたのである。
— 第九分冊 『新書太閤記』 青空文庫
討ちもらすな、者ども、討ち取れい」 と下知して、義仲を取り囲み、われこそ大将軍を討とうと進み出た。
— 第九巻 『現代語訳 平家物語』 青空文庫
われと思わん人は寄り合え、見参せん」 と叫びながら進むと、「ただいま名乗るは東国で音に聞えた名だたる武士ぞ、逃すな、討ちもらすな」 と城の武士たちは梶原を包囲して、われこそ討ち取ろうとひしめきながら駆け寄って来た。
— 第九巻 『現代語訳 平家物語』 青空文庫
「このままでは討ちもらす、遠矢を射て落してくれよう」 と、距離があきすぎ射当てる自信は梶原にはなかったが、もしやと思い、弓を満月に力一杯引きしぼって放てば、見事その矢は重衡の乗る馬の後のつけ根に深くささり、名馬童子鹿毛の足はみるみる崩れてきた。
— 第九巻 『現代語訳 平家物語』 青空文庫