渋面
じゅうめん異読 しぶづら・しぶつら
名詞名詞-の形容詞
標準
grimace
文例 · 用例
人間も渋紙で物を包んで水の浸入に備えたり、渋面をして他人との交渉を避けたりする。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
シュエスターが抱いて母親の所へつれて行ってやっとすかして席へつかしたが、やはり渋面をしては後ろを向いている。
— 寺田寅彦 『先生への通信』 青空文庫
常にジャムを領するをもって、自家の光彩を発揮する紳士は、この名馬夕立に対して恐入らざるを得ないので、「おや、千破矢様、どうして貴方、」と渋面を造って頭を下げる。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
円くて渋面の親仁様が、団栗目をぎろぎろと遣って、(狐か――俺は天狗だぞ、可恐いぞ。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
幽霊などと動揺きしがようやくに静まりて、彼方へ連れ行き介抱せんと、誘い行きしを聞澄まし、縁の下よりぬっと出で蚊を払いつつ渋面つくり、下枝ならむには一大事、とくと見届けてせむ様あり、と裏手の方の墓原へ潜に忍び行きたりける。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
と渋面つくりて銀平の顔を視め、「銀平、遅かったわやい。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
」と渋面造って退る顔へ何やらん冷りとする。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
侯爵は渋面造りて、「貴船、こりゃなんでも姫を連れて来て、見せることじゃの、なんぼでも児のかわいさには我折れよう」 伯爵は頷きて、「これ、綾」「は」と腰元は振り返る。
— 泉鏡花 『外科室』 青空文庫