翻々
翻々
名詞
標準
文例 · 用例
萌黄、淡紅しどけない夜の調度も部屋々々にあからさまで、下屋の端には、紅い切も翻々する。
— 泉鏡太郎 『飯坂ゆき』 青空文庫
まざまざとして、映じてくる網膜の上の斉彬は――ある時には、空間に引立てられて、全身が歪み、ある時には、地下へ翻々として落下しながら、恐怖の眼を見開き――それは、天魔、地神に虐げられている、牧の呪いの力によって、斉彬の体に感応した結果を現す形であった。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
また曰く、今やその檣竿に翻々たるの花旗はすでに天涯地角、至るところの人をして尊敬せしむるの力を有せり。
— 徳富蘇峰 『将来の日本』 青空文庫
ただ数百の兵営を国中に設け三里の城、七里の郭、飛鳥も越ゆるあたわざるの堅固なる塁柵を築き、砲台を設け、数十艘の甲鉄艦は旭日の旗章を五大州各地の港湾に翻々たらしめ。
— 徳富蘇峰 『将来の日本』 青空文庫
小高い丘の船問屋の高い竿の尖に赤い旗が翻々と閃めいている。
— 小川未明 『越後の冬』 青空文庫
広い圃の中に出ると、小春日に、虚空を赤蜻蛉が翻々と、かよわく飛んでいるのやら、枯れた足元の草の上に止っているのもある。
— ハーン先生の一周忌に 『面影』 青空文庫
翻々と赤い旗も見える。
— 小川未明 『暗い空』 青空文庫
× × × 山はところどころ紅葉して、郊外の水や道には、翻々、枯葉が舞っていた。
— 孔明の巻 『三国志』 青空文庫