明麗
めいれい
名詞
標準
文例 · 用例
白理、優婉、明麗なる、お十八、九ばかりの、略人だけの坐像である。
— 泉鏡花 『七宝の柱』 青空文庫
太平洋の波に浮べる、この船にも似たる我日本の國人は、今や徒らに、富士山の明麗なる風光にのみ恍惚たるべき時にはあらざるべし。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
この辺は弁当でも開くには最もよく、普賢ほどの展望はなくとも、野岳からゴルフ・リンクスを見下した景色は明麗であり、九千部岳、千々岩岳を中心として鳥甲、吾妻、鉢巻等を外輪山とする西雲仙火山の大観が得られることを取るべしとする。
— 菊池幽芳 『雲仙岳』 青空文庫
旅館ではなくて、別荘のような気持のするこの楼の二階から、有明海を隔てて、肥前の多良岳や、肥後の山々を望み、九十九島に対する明麗な風光は、旅情を慰むるに十分である。
— 菊池幽芳 『雲仙岳』 青空文庫
紺碧の空は高く澄み渡って、一昨日の豪雨に洗い清められた四囲の景色が、暑くも寒くもない初秋の太陽の光を一杯浴びているのが、平常でさえ美しいその街の眺めを、今日はあたかも玻璃の中の物を窺いて見てるように明麗であった。
— 近松秋江 『狂乱』 青空文庫
七 まだ二月半ばの厳しい寒威は残っていても、さすがに祇園町まで来てみると明麗な灯の色にも、絶ゆる間もない人の往来にも、何となくもう春が近づいて来たようで、ことに東京と異って、京は冬でも風がなくって静かなせいか夜気の肌触りは身を切るように冷たくっても、ほの白く露霜を置いた、しっとりとした夜であった。
— 近松秋江 『霜凍る宵』 青空文庫
今や天地は全く暗黒の裡を脱して明麗なる朝の景を描き出だす。
— 蒲原有明 『松浦あがた』 青空文庫
明麗なる夏の夕の感慨まことにかくのごとし。
— 蒲原有明 『松浦あがた』 青空文庫