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隠沼

いんぬま
名詞
1
標準
文例 · 用例
万葉集などによく出て来る「隠沼」といふやうな感じである。
太宰治 津軽 青空文庫
とは言つても、これもまた私の、いい気な独り合点で、読者には何の事やらおわかりにならぬかも知れないが、弘前城はこの隠沼を持つてゐるから稀代の名城なのだ、といまになつては私も強引に押切るより他はない。
太宰治 津軽 青空文庫
隠沼のほとりに万朶の花が咲いて、さうして白壁の天守閣が無言で立つてゐるとしたら、その城は必ず天下の名城にちがひない。
太宰治 津軽 青空文庫
彼女の胸は、ふんわりと気息いていて、その深々とした落着きは、波紋をうけつけぬ隠沼のように思えた。
小栗虫太郎 潜航艇「鷹の城」 青空文庫
隠沼夕影しづかに番の白鷺下り、槇の葉|枯れたる樹下の隠沼にて、あこがれ歌ふよ。
石川啄木 青空文庫
ああさは我が隠沼、かなしみ喰み去る鳥さへえこそ来めや。
石川啄木 青空文庫
見たいと思つてわざわざやつて来た沼が、滅多に人のやつて来ない沼が、またはいかにも錆沼とか浅芽沼とか隠沼とか言はれさうな沼が、夢の中で見た不思議なシインか何ぞのやうに私の前にあらはれて来たからである。
田山録弥 ある日の印旛沼 青空文庫
鷺の歌     エミイル・ヴェルハアレンほのぐらき黄金隠沼、骨蓬の白くさけるに、静かなる鷺の羽風は徐に影を落しぬ。
上田敏 海潮音 青空文庫