黒繻子
くろじゅす
名詞
標準
black satin
文例 · 用例
黒繻子のゑりがかゝつたそのねんねこがすらつとした色の白い若い守女と眼の大きな髪の毛の黒々とした茫漠としたやうな女の児をつつんでゐたその頃の――明治三十年代のやや古びたおめしちりめんを想像して下さい。
— 岡本かの子 『縮緬のこころ』 青空文庫
何れも前髮を垂らした、日本なら潰し島田とか云ふ風な玄人特有の髮に結ひ上げて模樣のある黒繻子かなんかの上着に、半ズボンをはき、足には刺繍のある支那靴。
— 南部修太郎 『阿片の味』 青空文庫
眉の痕の青い櫛巻髪に黒繻子の腹合わせ帯。
— ――博多名物非人探偵 『狂歌師赤猪口兵衛』 青空文庫
ところが歌舞伎芝居が好きで、わけて田之助びいきの処から、其の楽屋に出入りしているうち同じ贔負の国太郎と知り合い、官吏の家庭とはまるで世界の違う下町生活の話を聴いて異常な好奇心と憧憬から自分から進んで黒繻子の襟のおかみさんになったのであった。
— 岡本かの子 『とと屋禅譚』 青空文庫
お媼さんは薄い髪を切り下げにして幅のせまい黒繻子の丸帯を、貝の口に結び上げた、少し曲った腰を、たたきたたき、お爺さんが実家へ帰って留守の夜などはとりわけ広い家のなかをぐるぐる見廻って、下男や下女に、内外の戸締りなどを厳しく云うのであった。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
黒繻子の襟も白く透く。
— 泉鏡花 『露肆』 青空文庫
盛の牡丹の妙齢ながら、島田髷の縺れに影が映す……肩揚を除ったばかりらしい、姿も大柄に見えるほど、荒い絣の、いささか身幅も広いのに、黒繻子の襟の掛った縞御召の一枚着、友染の前垂、同一で青い帯。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
其奴の間夫だか、田楽だか、頤髯の凄まじい赤ら顔の五十男が、時々長火鉢の前に大胡坐で、右の叔母さんと対向になると、茶棚|傍の柱の下に、櫛巻の姉さんが、棒縞のおさすり着もの、黒繻子の腹合せで、襟へ突込んだ懐手、婀娜にしょんぼりと坐っているのが毎度と聞く。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
作例 · 標準
彼女は光沢のある黒繻子のドレスを身につけていた。
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舞台の幕には、重厚な黒繻子が使われている。
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この黒繻子の生地は肌触りがとても滑らかだ。
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